精密部品の製造依頼をする際は受託製造費用に注目してみると、どこをコストダウンするべきなのか見えてきます。また、加工費をできるだけ抑えるポイントもチェックし、設計の段階でしっかりと考慮してみましょう。まずは、精密部品の加工費を抑えるための受託製造費用の考え方を紹介します。
受託製造費用は「初期費用/製造数量+材料費+加工費+管理費」の式で算出されます。ここで知っておきたいポイントは、以下の3つです。
初期費用とは、精密部品の製造をスタートする際にかかる費用を指します。治具費用や工具費用のほか、成形部品なら金型製作費用も初期費用の一部です。
初期費用は製造に関わる費用の中で「固定費」に分類されます。そのため、数量を問わず金額は変わりません。製造する数量が多ければ多いほど、1つあたりの初期費用は抑えられるのです。
業者によっては「初期費用」として一括で計上することもあります。しかし、ほとんどの業者では製造数量で初期費用を割って単価に対して上乗せするため、初期費用は数量によって変化することがよくわかるでしょう。
加工部品を製造するために必要な材料費は、製造するにあたって削ることができない費用です。材料費は一般的にサイズではなく、質量とキロ単価で価格が決まっています。
実際の精密部品の形状を考慮し、削り代を確保して最も近いサイズの素材を選ぶのです。形状によっては削らなくてはならない部分が多く、加工代がかさむ場合もあるため、注意しなくてはなりません。
加工費と聞くと、加工を行う人件費が大半を占めていると考える人が多いです。しかし、加工費は人件費以外にも様々な種類があります。精密部品を製造するなら、製造する機械の取得にかかった費用や工具代を含む消耗品も加工費の一部です。
いわゆる時間チャージとして、平均では4,000円が相場とされています。一般的に加工費は、加工工数×時間チャージで算出されることが多いです。
しかし、最近は案件単位で見積りを出すケースもあります。加工工数や時間チャージは不明瞭な点が多いため、成果物をベースとして価格を設定したほうがお互いにわかりやすい、という考え方も広まってきているのです。
精密部品の製造を依頼する際、できるだけ加工費を抑えたいという思いは誰もが持っているはずです。では、実際に加工費を抑えるためのポイントを見ていきます。
規格が特殊なものだと、加工に時間を要します。加工費が発生する要因となるため、できるだけ汎用的な規格を利用することはコストカットにつながるでしょう。もちろん汎用的な規格が利用できないのに無理やり利用する必要はありませんが、可能かどうかを確認することで、コストダウンの可能性が高まります。
できるだけ高品質の精密部品を手にしたい、と思うがあまりに不必要なほど高すぎる、過剰な精度を要求すると、その分加工費はかかります。精度が高い加工を行うためには、加工の速度を落とす・追加工を行うなどの手間がかかるのです。コストがかさむ原因となるため、精度が重要な部分とそれほどでもない部分を分け、どこに費用をかけるかをしっかり検討する必要があります。
部品の数が増えると、その部品を製作するコストがかかります。また組み立てにも時間がかかるので、結果的にコストアップになるのです。つまり、部品の数を減らせばコストダウンを実現できます。ネジで留めていた部分をツメに変えるだけでも、押し込んで固定できるようになるのでネジの本数が減らせるでしょう。
削り出しでの製作は材料費や加工費が必要以上にかさみがちです。溶接を利用して1つの機械だけで加工できれば、コストダウンにつながるケースはよくあります。ただし溶接の場合、高い温度・圧力をかけて成形するため精度の維持や破損・欠陥リスクもあります。メリットとデメリットを検討し、最もバランスのよい加工方法をご検討ください。
精密部品の製作には様々な費用がかかります。精度が重要とはいえ、過剰な精度を求めすぎると無駄なコストがかさむのです。まずはどこか削れる部分はないかを考え、コストダウンを意識した設計を行うようにしてください。
また、どこを見直したらいいかわからない、というときは業者に直接相談してみると、様々な方法をご提案できることもあります。
ニシキ精機では、精密部品の製造・提案を行っています。高品質・短納期で発注したいとお考えならぜひ、ニシキ精機にご相談ください。
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